Fの文字をふたつ組み合わせたロゴを織りだしたジャカードのバッグがすっかりおなじみの「FENDI」(フェンディ)だが、この素材のバッグは、フェンディブランドの中では新しい製品だ。というより、おまけの品みたいなものといっていい。このブランドがスタートしたのは1918年。当初は、ベネツィアにオープンしたレザーと毛皮の工房だった。ちょうどそのころ、ハリウッド女優を中心に、キツネの襟巻が大流行しはじめた。ふたりで店をはじめたばかりのエドアルドとアデーレのフェンディ夫妻は、1925年には店を会社組織にして、毛皮のコートづくりに着手する。当時はすべて、オーダーメイドである。ハリウッドでの毛皮人気に乗じて、イタリア中を注文とりに走りまわったおかげで、ふたりの毛皮店はみるみる成長。顧客である上流階級婦人たちのあいだで、絶大な人気と信頼を得るようになっていく。フェンディの成長を助けた要素のひとつが、オーダーからプレタポルテへの方向転換だった。社交界での贅沢品という受けとめ方だった毛皮も、第二次世界大戦後の。女性の自立で、グンと身近なものになっていき、オートクチュールだけの需要にとどまらなくなっていたのだ。そして、もうひとつの要素は、フェンディ家の5人の若い娘たちが、商売を手伝いはじめたことだった。高価で上流夫人のステータスとして価値のあった毛皮を、軽くて柔らかいデザイン性豊かなものへとイメージチェンジさせたのは、彼女たちだった。ブランド創立時から、ダブルFを織りだしたコートの裏地を使っていたフェンディが、このロゴを使ったバッグを売りだしたのは、1965年のこと。ローマのボルゴニョーナ通りにブティックをオープンし、カール・ラガーフェルドをデザイナーとして迎え、総合ファッションブランドヘと衣替えしていく時代になってからのことだ。日本では、バッグばかりが有名になってしまったが、フェンディは、いまもやっぱり毛皮ブランドとして世界に君臨している。