乳幼児期は、一生のうちでもっとも可塑性のある時期として知られている。そのため、親や保育士などの働きかけ如何によっては、子どもたちのその後の発達や成長を基礎づけるような大きな教育効果が期待される。これらのことを考えると、乳幼児という早い時期から、異文化にいかに対応するかの教育的な支援をはじめることがきわめて重要になってくるだろう。しかしながら、実際には、こうした乳幼児を対象にする異文化間教育の研究は、その数は増加しているものの全体からみればいまだに非常に少なく、また、そうした異文化間教育の理念に根ざした支援はほとんど行われていない現状にある。このように、乳幼児期からの問い直しは、その重要性にもかかわらず、これまで見過ごされてきた人間形成の初期に焦点をあてるという意味をもつといえる。第三に、「乳幼児期から」を問題にするのは、乳幼児期を対象にしてきた保育研究のアプローチを援用することで、理論的研究と実践的研究とを結びつける契機となるからである。これまでの異文化間教育は、異文化の間の教育現象を明らかにする理論的研究とその知見にもとづいて実践を創り上げる実践的研究が別々に取り扱われる傾向にあった。そのため、理論と実践の相互関係が必ずしも明確ではなく、また、それらを有機的につないでいこうとする視点が弱かったといえる。ここで採用する保育研究のアプローチは、子どもの全面的な発達をめざして、理論と実践が密接に関わり合いをもちながら発展してきた。その研究の特徴としてあげられる実践をもとに理論を形成し、また、理論を実践に生かしていくという視点は、異文化間教育の研究アプローチにも大きな示唆を与えてくれるものといえるのである。以上、「乳幼児明から」の問い直しによって、異文化間教育は、人間の成長や発達の視点、人間形成の初期に光をあてる視点、および理論と実践を結ぶ視点をもつことで、新たな枠組への再編を実現することができるのである。なお、ここでは、乳幼児期を中心に扱っているが、本稿で問題にしているのは、あくまで「乳幼児期の」ではなく「乳幼児からの」異文化間教育である。したがって、今後はさらに、人間の生涯にわたる発達を視野に入れた異文化をめぐる教育のあり方が検討される必要があるだろう。
[おすすめサイト]
保育士専門学校の詳細
http://www.seitoku.jp/kttcsu/