もし松嶋菜々子のような女性が横断歩道を渡っていたら、たぶん「あのオンナどう?」とも「ほらあのコ」とも男たちは言わず、どちらかが黙って肩をつつくと、片われも黙ってウンウンとうなずくだけ……みたいな形になるのじゃないか。つまり、男たちにも呼び名の美学があって、本当に素敵な女性のことは「あのオンナ」とも「あのコ」とも、ましてや「あのオバサン」とも呼ばない。しいて言うなら「あのひと」としか呼べない。そういう女性っているのである。できればそれを狙ってほしい。ちょっと濃厚な「大人のオンナ」よりずっとフレッシュで、「おねえ系の若いコ」よりもちろん知的で上品、ある意味では上と下の濃ゆい存在のハザマにあるのが、「あのひと」。それこそが、ジャスト「女性」なんじゃないか。そもそも日本の女は、本当の意味で「女性」と呼べる時期をきちんと持たないと言われる。未成熟のオンナから堂々たるオンナヘ、ほとんどまっすぐ行ってしまう人も少なくない。本当は生涯でいちばん美しい「女性」という時代をいちばん長く生きてほしいのに。それにしても「女性」がいちばん存在感が薄いのも何だか変。本当は女の主役なのに。今まずそれを自覚し直すこと。あのオンナともあのコとも指されない、男たちを黙らせてしまう女へ。「私は「女性」よ」と。